アニメ漫画最近


dorohedoro.net

アニメ『ドロヘドロ』が面白すぎる。魔法使いによって荒らされたTHE☆混沌な世界のなかで、異形の男と体格の良い女が餃子や豚汁を食べて「美味しいね」と言うアニメだ。この作品に登場するキャラクターは皆よく食べる。餃子に始まり、車内で食べるカップ味噌汁とおにぎり、人やゾンビを殺したあとに食べる豚汁、カップ麺、アイスクリーム。より美味しそうなキノコ料理の原材料は人間で、最も調理方法を詳しく描いた鴨のローストは人形になってしまうというのはどうしてと言う他ないが、食事のシーンが多いことでこの作品は混沌系日常アニメとして観ても抜群に面白い(本筋は別にあるのに)。

圧倒的な書き込みによって美しく映る退廃的なデザインのなかで、殺し、殺されそうになり、仕事をし、飯を食べる。現実世界と比較すると作者の脳内を覗き見たくなる程に混沌としていて理解不能だが、その世界にも常識はある。例えば顔の皮を剥がされた恵比寿が自分で服を着られず、藤田が着せてあげたシーン。パズルのような服に苦戦した結果おっぱいが片方露出してしまうのだが、これを見た心と能井は驚き動揺するのである(結局流行ってんのかなで済まされるが)。“そういう世界だ、慣れろ”ということだろう。たまらん。混沌世界でありながら、どこまでもコミカルに描かれる彼らの日常と会話は、むしろハマらずにいろというほうが難しい。さらに、カイマンと二階堂が魔法の世界に乗り込む話(5話)の前半部分、心と能井が「いじめっ子サンドイッチ」を作ることで、この回におぞましくもピクニック感を演出するなど、観ていてニヤニヤしてしまうような構造も用意されているため、もうニヤニヤが止まらないのである。私は原作未読のため、アニメが終わってもまた別の楽しみ方ができそうだ。

 

魔法といえば、少し違うが、kindleストアで配信されている『インコンニウスの城砦』という漫画を読んだ。

インコンニウスの城砦 (馬頭図書)

インコンニウスの城砦 (馬頭図書)

 

表紙から漂う『風の谷のナウシカ』感。過度な期待をしないように努めたのだが、いざ読んでみたらとても良かった。本作は魔術と神が当然に存在している世界において魔術対科学の構図で戦争が行われており、そこで活躍する少年スパイを主人公においた作品だ。魔術対科学というと、思い出されるのは『ゼロの使い魔』や『GATE 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり』などの作品で、ファンタジー対現代兵器の構図だ。しかし本作に登場する科学とは、“魔術と神が当然に存在する世界の中で生まれた科学”なのである。どういうことかと言うと、例えば『ハリー・ポッター』シリーズにおいて魔法を使用する際、呪文の唱え方や杖の振り方が間違っていると、小規模な爆発がおき髪がチリチリになる。『ハリー・ポッター』においてこれは笑いどころとして描かれていたが、本作ではその失敗時に発生する発火現象を利用して蒸気機関を動かすのだ。作中の言葉を引用すると、

魔術を失敗し続けることで火神から炎をかすめ盗るって寸法 

ということである。なんて素敵な発想だろう。言葉から察するに、魔術には対価が必要で、それを乗り越えるための悪知恵が科学なのである。ファンタジーな世界観(=幼少期から憧れた世界)が更新された気分だ。一通り妄想しきって、大体アイデアは出尽くしただろうと一人納得していたばかりに、物語前半のこの時点で私はもうやられてしまったのである。もちろんそれだけではなく、展開や心理描写など、全体としての完成度も高い。細かい設定の説明をいちいちせず、しっかりと一巻で完結してる良作だった。作者・野村亮馬の別の作品もいつか読もうと思う。

 

ここ最近はさすがに引きこもりが過ぎて心配になってしまうということで、以前から行こうと思っていた『ハンマスホイとデンマーク絵画』展に行った。

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展示されているのはヴィルヘルム・ハンマスホイの作品をはじめとする19世紀のデンマーク絵画だ。目当てはハンマスホイ*1の室内画とスケーイン*2派の絵画。引きこもりを心配して室内画を見にいくというのはよくわからないなと、これを書いている今思い至った。バルビゾン派もそうだが、一つの村に芸術家が集まって様々な絵を描くという動きは面白いし、その村の略図を見るととても怖い。きっと当時のオタクは、その村の方角を向いてサジダよろしく平伏叩頭していたに違いない。私は図録を買って仏壇に立て掛けている。

この展覧会でとても気分がよくなったため、その足で田端にある動坂食堂へ向かった。昼ビール×食堂の再挑戦である。美術館帰り×昼ビール×食堂というのは、もう字面だけで美味しい。動坂食堂にはメニュー表がなく、壁にかかっている札を見て注文するというシステムだった。大衆食堂に配慮は無用である。今回はレバニラ炒め(とても美味しい)単品とビールの中瓶を頼んだため、圧倒的勝利を収めることに成功した。

その後、気分の良い日は散歩をするに限るし、夜には下北沢でご飯を食べる予定があったため、動坂食堂から新宿まで歩くことにした。道中の筑波大学お茶の水女子大学早稲田大学といった我が母校の数々に郷愁を抱きつつ、東京カテドラル聖マリア大聖堂を覗き見るなどし、ダラダラと新宿まで歩いたわけである。その他特段書くことはない。

 

都内の部屋の契約が済んでいるのだからさっさと引っ越せという気がしているのだが、荷造りや各種手続きが面倒すぎてやる気が起きない。言い換えれば部屋は契約できているのだから何も急ぐことはないのである。部屋のレイアウトも考えたくないしネット回線も考えたくない。イヤイヤ期に突入した。とりあえず引っ越す前に茨城方面を散策したいのだが、海沿い以外にわざわざ足を運ぼうと思える場所がない。おすすめスポットがあれば教えていただきたい。

*1:ハンマースホイという表記に慣れていて違和感がある

*2:スケーエンという表記に以下略